8月19日

ルドルキア王国の城が呪竜の被害で確実に崩れ落ちる。
2年以上、一度たりとも落ちたことのなかったエレジタットの城…。
事実は認めねばならない。
問題は城が落ちた後誰が国を支配するのか。

回収作戦が実行される運びとなった。
決行は城の耐久値が10%を切ったほんの一瞬。
親衛隊のレベルを下げ、依頼した者達に正面玄関から力技で突破し王位についてもらう。
後に王位返還し、上手くいけば政権を維持できる。


私は無法者を拒む為でなく、呼び入れる為の親衛隊に志願した。

不安がないといったら嘘だ。
予定外の者が割り込んでくる可能性は高い。
また裏切りがあるかも知れぬ。
私にそんな輩を排除する実質的な力はない。
剣は嗜み程度、魔法とて父の残した護符の力を借りなければ弱々しいもの…しかも、護符は置いてきた。
物理的な国防の要となると謳う組織の長を務めながら、敢えて城を落とす手助けをする。
これほど滑稽なこともない。

それでも微笑みは絶やさない。
私などよりよほど辛い方がいる。
念願の親衛隊入りと軽口を叩く。
何もしなければルドルキア王国は確実に消滅する。
ならば少しでも可能性を上げねばならぬ。
諦めるのは本当にルドルキアの名が消えると分ってから。


擦れ違い際、それまでその位置にいらした第一師団長殿に目礼。
大丈夫、破滅を呼び込む実行者は少なくとも貴方ではなくなりました。



―下準備を終え、国を賭けた大勝負の幕が開ける―